発信するサル

書籍、映像作品、投資

安宅和人 「イシューからはじめよ」 感想

これはたぶんみんな読んだほうがいい。

なんだろう、難しかったからまた読まなきゃいけないけど、読んだほうがいい。

外山滋比古の「思考の整理学」を読んだ時のような感覚。

知識ではないのだけれど、一度読んで、その思考回路を開いておいたほうが、後々役に立つような。

 

残念ながら私は知的生産を現在行っていないので、すぐに役立つことはあまりないかもしれないが、とてもためになった。

研究をする人や、プロジェクトを立ち上げるような人には必要な思考回路だと思う。

 

Audibleで聴いたのだが、結局ほしくなって書籍を買ってしまった。手元に置いておかねばいけないような気がして。

 

また読む。

ハンス・ロスリング 「FACTFULNESS」 感想

まあなんか売れている理由はよく分かった。おもしろかった。

特段書き連ねるようなことは無いが、読む価値はあったと思う。

・人口の増加は止まる

・「あの人たち」も近代化され裕福になっていく

・依然悪い状況だが確実に良くなってきている

ここら辺は新たな視点だった。

 

「世界はずっと同じように悪いままだ」という思い込みを打破したかったのだろう。

 

話は長いし、すぐにチンパンジーと比較してくるからすこし癪に障るなと思っていたが、最後に著者が無くなられているという衝撃の事実(ネタばれ)を知り、悲しくなった。そう思うと、人を小ばかにしたような話し方もお茶目,Cuteに思える。

 

結局訳者あとがきで一番良いことを言っていた気がする。

「世界を正しく見るのには、情報を批判的に吟味するのはもちろんだが、自分を疑う力が必要である」

世界を正しく見る方法なんて無いと思うが、著者の言っていたように思い込みから脱するには、自分を疑う力が必要なのだ。

 

 

マーク・ダグラス 「ゾーン 相場心理学入門」 感想

最初バリュー投資を否定しだしたので、「なんだこいつチャーティストか!?」と思ったが、バリューとかテクニカルとかそういう話ではなく、マーケットに対する自分の心理状態をどう捉えるかという、ひたすらに自己省察の物語だった。とても有用だった。

 

・マーケットを自分の望み通りに動かすことはできず、我々にできることは自分の行動を変化させることだけである

・マーケットが自分の望み通りに動くとは限らないので、この先に起こることを知る必要はない

・マーケットを自分の望み通りに動かすことはできないので、結果に対して自虐や失望をする必要はない

・マーケットはその瞬間が唯一無二のものであり、その構成要素は参加している全てのトレーダーである

・参加するメンバーが入れ替わったり、他のトレーダーの心情や信念が変わるだけで、マーケットは変化する

・よってマーケットはその瞬間が唯一無二のものであり、二度と繰り返すことは無い

・つまり、マーケットではいかなることも起こりえる

・マーケットが自分の望み通りに動くとは限らず、いかなることも起こりえることを理解していれば、なぜ参加する前にリスクを決めておかないのか、なぜ機械的利食いのシステムを構築していないのか

・マーケットは常に連続した形で現れ、トレードに参加するのも、トレードを手仕舞うのも、トレーダー個人の認識に依存している

・マーケットの動きは確率として存在し、損失はマーケットに参加するための必要経費だと理解していれば、ひとつひとつのトレードがカジノでスロットマシーンのレバーを引くことと何ら変わりないことが理解できるはずだ

 

覚えているのはこれくらいだろうか。最初はテクニカル信者か!?と思ったが、なんてことはない、ただひたすらマーケットとトレーダー個人の心理状態との関係を省察する、マーケットとの向き合い方について教えてくれる、とてもよい書籍であった。

 

たとえどれだけ手を尽くしてもマーケットはお構いなしに確率で動くのだから、自分なりの優位性をもって淡々とやろうよ、というお話であった。

株式投資について(3)

いつか上がる株を今買う必要はないのでは?いつか上がる株は、そのいつか上がるときに買えばいいのであって、今買うべきは今上がる株なのでは?

 

ディフェンシブな株を買う必要はないのでは?こんな小さな種でディフェンシブな株を買ったところで、上り幅は雀の涙でありほぼ意味はないのでは?ディフェンシブな投資はそれなりに大きな資金を運用するときの選択肢なのでは?

とすると大型株や"いつか上がる""ディフェンシブな"バリュー株に投資することにはほとんど意味は無いのでは?

 

私が今投資すべきは、①今上がる、②小型株、なのでは?種を増やすにはそれなりのリスクを負わなければいけないのでは?

 

私が今探すべき株は、2~3バガーを前提とした、あわよくば10バガーになるグロース株だけなのでは?

株式投資について(2)

小型~中型株かつバリュー(低PER,低PBR)かつテクニカル(上がり始め)+(グロースorテーマ/集団心理/砂上の楼閣)が最強なのでは?

全てを満たす株が無いのなら、その市場に投資すべき株が無いということなので、今は何も買わなくてよい。

 

株は商品?せどりのようなもの?買い手がいなければ意味がない。いくら安く売ってても高く買ってくれる人がいないと意味がない?たとえ割高でも、人気があればみんな持ってる?みんなに夢を見せてくれないと、楽しませてくれないと買ってもらえない?

 

 

安宅和人 「シン・二ホン」 感想

国レベル、地球レベルでの未来構想が語られており、大変勉強になった。

 

日本という国家のレベルでの現状の分析と問題点、今後の構想、これまでのレガシーについて語られていた。

日本の現状については、私は正直よく分かっていなかった。どれだけニュースを見ても、「政治家が何かしているな」「日本は人口が減って衰退していくのかな」という印象しかもっていなかった。

 

人口減少を、調整局面と捉え、人口減少を前提とした構想をもつこと、国民一人一人の生産性を上げるという発想は、目から鱗だった。発展と成長は人口増加を前提としたものという固定観念に私はとらわれていたのだが、言及されているように、それは人口と生産性が比例しているこれまでの時代の前提に成り立つものであり、今後のAI×データ時代では成り立たないということだった。

 

AI×データ活用により、生産性を格段に飛躍させるというのは、おそらく現人類の皆が見ている夢であり、人類は見た夢を実現する習性がある。だがやはりまだ少し夢のようで、実感をもって感じられるのはいつになるのか(現にじわじわと変化は目の前でも起きているのかもしれないが)分からないが、楽しみに感じる(感じるだけでなく、私も夢の実現に一役買うことができればいいのだが)。

 

日本という国がこの先どこに向かっていくのか。科学技術大国として世界に食らいつき続けるのか、ゆるゆると衰退していく(それこそ、引退してしまう)のか。

どうやら日本人は(そして私は)北欧や西欧に夢を見て、過去の日本人のレガシーを食いつぶしながら、短い人生をそれなりに謳歌して、ゆるゆると衰退してく道を選んでいるようだと感じていたのだが(それこそ冒頭にあった閉塞感、黄昏感のような気持ち)、このように情熱を燃やしている方々がいらっしゃるのだと、勇気づけられ、感動した。私も、少しでも何かしなければと。

 

女性の解放、高齢者の解放、貧困層の解放という指針が、なんとなく美しい理想としてではなく、確かに日本に必要であるという切実さをもって語られていたのが印象的であった。特に貧困に関しては、身に染みて感じるものがある。貧困であると、日々に忙殺され、この「シン・二ホン」が目に留まることも、それを手に取ろうという意欲も、そもそも書籍を購入するお金の余裕も、ないのだ。

 

教育や研究について多くページを割かれていたように思う。確かに現在この国では、研究の道に進み博士まで取得するというのは、「物好き」のすることであり、学費を払わねばならず、給料も身分も保証されていないという、本当に罰ゲームの状態になってしまっている。「物好き」かつ金銭的土台がなければ、研究の道に進むという選択肢は、将来設計において真っ先に消える。

世界言語である英語で内容を明確に伝える訓練、つまりアウトプットの訓練を受けずに学校を卒業しているという内容は、耳が痛かった。社会で生きるための訓練を受けずに社会に出てしまっていると。現に皆、社会人になってから金銭を払って書籍を読んだりセミナーを受けたりして知識や教養を補っていることは多分にあり、現に私も今こうやって金銭的に落ち着いたからこそ、書籍を購入して思考を巡らすに至っている。

 

国家予算の話になると、どうしても医療費が矢面に立ってしまうのは避けられないように感じた。矢面に立たされるというよりは、まず第一に改善を施すべき「課題」が山積みになっている領域であり、私も努力せねばと感じた。どうしても仮想敵と見なされ、姥捨て的発想につなげられてしまう高齢者の方々を、「ここまでこの国を築いてきた功労者たち」と表現しているのは、とても好感がもてた。好感がもてるもなにも事実であり、今後我々が後世にレガシーを残す「功労者」となりえるのか、かつ若い世代に負担をかけずに生きる構造を生み出せるかという、課題が提示されている。

 

著者があとがきで語った、「国にも、自分にも、残された時間は少ない」という切実な思い。そう、人の一生は思っていたよりだいぶ短く、残された時間を数えることはあまりにもたやすい。

「未来の若い世代のために少しでも投資する」という思いは、地球レベル、国家レベル、個人レベルで大切にしなければならない。

 

耳障りのいい理想論ではなく、日本に今切実に必要とされている変革について語られている、良著であった。国民ひとりひとりが、このような国レベル・地球レベルでの視点をもつことができれば、と感じた。

映像の世紀プレミアム 第8集 「アメリカ 自由の国の秘密と嘘」 感想

序盤はFBI長官フーバーの話だったので、少しダレてしまったが、そこからジョン・F・ケネディ暗殺、ニクソンウォーターゲート事件の話題となり、なかなか興味深い内容だった。

 

アメリカ怖っ」という感想。

よく映画でスパイ、陰謀、暗殺などがテーマとして描かれるが、あながちフィクションでもないのだな、(というよりはこのような実際の事件を背景に作られているのだな)と。

 

ベトナム戦争の話はよく出てくるが、ほんとアメリカ怖いなと。自由と民主主義のためならなんでもしてええんか、、、と思ってしまう。このアメリカの執念に近い何かに恐怖を感じる。「正義のためにわれわれは戦う」というその決意に、信念に、恐怖を感じる。

 

自由と正義のために振り上げられたその拳で、これからも何人もの人が犠牲になるのだろうか。こわいこわい。